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第4回 
東京 神楽坂の巻

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都会に出現したどんじゃら森

夏の晴れた日の暑い朝だった。
カズを先頭に園児たち十数人が二列に並んで歩いてきた。
「はーい、ここですよ」と園長先生。
「わーい、これかー、なかに入ろう、入ろう」園児たちの元気な声が聞こえてきた。
ここは東京神楽坂、欅游庵での出来事である。

いつもは森に出かけていくどんじゃら探検隊の本部?の中庭に、突如出現した森?欅游庵。
今日はここに、神楽坂の赤城幼稚園から園児たちが遊びにくる日なのだ。この都会の森はアユミギャラリーで開催された企画展【森から住宅を考える2001】 の折に、屋外展示された簡素な小屋である。紀州山長の構造材と宮城県くりこまのパネル材を用いて実験的につくられたもので、中庭にある欅の木を取り込んで つくられたことがミソである。欅の葉っぱが屋根代わりという遊具のような木箱。この中に入るとまさに「都会にやってきたどんじゃら森」というわけだ。
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池にドボン!?!?

「はーい、みなさん。ならんで、ならんで」
元気な声が聞こえる。マドンジャラの草ちゃんの声である。この日は半日保母さんである。欅游庵で子供を遊ばせる?遊んでもらっている?役目なのである。園 児たちは初めてみるこの奇妙な木箱に興味津々、キョロキョロオロオロウロウロ。しばらくして慣れてきた子供たちは、それぞれの遊びを考え始める。上がった り下がったり、出たり入ったり、もぐったり、木に登ったり・・…。マドンジャラと仲良く遊んでいる。欅の木に登っている子供が何人もいる。
「ジャングルみたい!」
「気をつけてね」とマドンジャラ。
「みてみてここからも登れるよ」「わーい、わーい」
千葉土霊ちゃんも一緒に遊んでる。そのうち突然雨が降り出した!?と思ったら隊長がホースをつかって雨を降らせている。子供たちは突然の天気雨を楽しんでいる。
「気持ちいいー」「冷たーい」
「わーい、わーい」歓声があがる。
もう着ている服はびしょびしょだ。
隊長がさらに勢いをつけて雨を降らせる。水に向かってくる子、床下に隠れる子、走り回って逃げる子・・…、そのうちの一人が金魚の棲む池に、ドボン???
「大丈夫!?」「大丈夫!?」二つの声が同時にあがる。一つはマドンジャラ、子供を純粋に心配している。もう一つの大丈夫?は隊長、金魚を純粋に心配している。

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どんじゃら森に虹が出た

「あっ、みんなみてみて、虹だ、虹だあ」
隊長の降雨が、園児たちの背丈ほどの高さに小さな虹をつくった。一同、少しの間、その虹を静かに眺めていた。
いったいみんな何を想っているのだろう?
「虹の向こうにある夏の夢さ」と隊長がキザに言い捨てると、
「いいなあ、ボクも子供になりたーい。虹になりたーい」
と大人になりそこねたカズが叫ぶ。隊長は容赦をしない。

ホースの雨はさらに強まる。マドンジャラびしょびしょ、園児はずぶ濡れ。園長先生が
「さあ、みなさんそろそろ帰りますよ!」「はーい」
元気な声で返事をする子供たち。
「また遊びたいな」
「また来るね!」
「また虹がみたーい」
「マドンジャラも土霊も元気でね」
園児が帰ったあとには、雨で洗われてさっぱりした欅游庵が佇んでいた。どんじゃら森にあらわれた一瞬の虹も微笑んで消えていくのだった。
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欅游庵は太い紀州ヒノキの構造材に、燻煙乾燥を施したスギ板を落とし込んだ単純なつくりだが、日本の木の 家の伝統を感じさせる力強さと、簡潔なデザインを備えている。道行く人も興味津々で、自由に休んでもらえるようにしたところ、神楽坂人たちの憩いのスポッ トになったという。

【欅游庵】/KYOYUAN/2.73M×2.73M
設置場所●どこでも可能
定価●80万円(運搬費・基礎別途)
お問い合せ●アユミギャラリー柿の木工房まで
http://www.ayumi-g.com
原設計●鈴木喜一
施工●千葉工務店+高棟建設工業
構造材●山長商店
パネル材・デッキ材●くりこま杉協同組合
「遊具にしたい欅游庵」
                     ( 赤城幼稚園園長 風山繁子先生の話 )

欅游庵で遊んでいる子供たちを見ていて、本当に喜んでいるのが分かりました。幼稚園に帰ってきてからも、み んな「楽しかった!また遊びたい」としばらく興奮状態でした。だいたい子供というのは上ったり下りたり、出たりは入ったりという動作が大好きなんです。そ れにケヤキの立木を取り込んだ欅游庵のような隠れ家的なものは冒険心を刺激するんですね。本物の木に触れるということも、情操教育という点でもとても大事 なことだと思います。遊具として見ても理想的ですね。通常カラフルな遊具が多いのですが、白木のままの方が子供たちの心を清純に育む気がします。骨太な木 でがっしり組まれているのは、どこか懐かしい日本的なよさを感じました。こういう木の技術を残していく意味でも、小さい頃から欅游庵のようなもので遊ぶこ との意義は大きいと思います。幼稚園や学校などにあると子供たちは喜ぶでしょうね(談)。

 

   
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