まちに森を持ってくるということで「欅游庵」を建ててイベントを行っていたんだけれど、今度はもっと身近なもので、まちの中に溶け込んでいくようなスケールを考えた。山からまちに森が移動し、今度はそれが生活にまで普及されていくストーリーです。
最近はクライアントも実際に国産の木に触ってみたい。高じて山も見て見たいという願望も増えています。
神楽坂建築塾には設計者・工務店・林業家の人たちも参加しているんですよね。そこで、日本の山の現状や、国産材のことについての講座を開く。実際に山にフィールドワークに行ってみる。僕たちはその延長線上で設計活動をしてますから、顔の見える山がどうしても放っておけなくなる。 日本の山のことを考えると、設計仕様に国産材を積極的に盛り込むというのは当然のことになってきますね。仕事に応じて、関係者みんなと山まで行って、実際に木材を見て、製材する人の話を聞いて、気を知ってデザインに活かすとうことは必要ですよね。カタログやサンプルだけで仕様を決めるのはとても危険ですよ。木に対する思い入れや使い方の幅も広がってくる。
僕らも「いい材料があるんですけど、どうですか」というやりとりから設計仕様を決めることも多い。気心の知れた仲でそういうやりとりが自由にできるのは、とても楽しいことです。 設計者でも木のことを本当に分らないで仕様を書いているということもあるんじゃないかな? くいくように努力してますけどね。こういうのを最近はコラボレーションっていうのかな?
設計者・施工者間でのこういうやりとりは必要だと思います。デザインはそういうバックグラウンドがあってはじめてはじめて成立するんですよ。 国産材に対する認識の違いも影響してきますよね。設計者側は国産材に対してすごくこだわる。でも、施工側は全然こだわらない。その逆で、設計者が全くその辺での意識がなくて、工務店側の自然素材にこだわる場合もある。これではいい仕事にいなっていかないと思います。共通認識がないんだからね。
千葉さんとは、その辺の共通した土壌があったというのがとても大きいですね。ベーシックなところで話が噛み合っていると、とても仕事がしやすいんです。ところが初顔合わせの設計者と施工者では、スタート時点が違うから、なかなかお互いの思想を理解しあうまでが難しい。初顔合わせでもうまくいくように努力してますけどね。こういうのを最近はコラボレーションっていうのかな?
設計事務所がデザインし、施工は工務店が行う。それぞれのプロがお互いの立場を認識してコラボレーションできたら、これ以上のものはないと思います。 設計事務所のデザインをかたちにすることだけを要求され、素材が選ばれたりする。それでは自分たちの住宅に対する思いとは違う、すれ違った状態で言えづくりをすることになりますね。
ひょんなことから、偶然出てきたイベントなんだけれども、とても社会的貢献度の高い企画展になってきていると思います。神楽坂で話を聴いて、木に触れて、山に行こうと思う人もずいぶんいるんじゃないかな。こういう活動に啓発されて、積極的に木造の家作りに関心を持つ人が増えてくるといいよね。あんまり楽観もできないけれど、一軒の家を依頼したくなるような受け皿をこれからは用意したいですね。
このイベントを行ってきて、反応も多く、宣伝活動にはなっていますが、まだ直接の仕事には結びついてこないというのが現実ですね。 もちろん自分達が面白がってやっているとこんなんだけれど、やはりこれだけのことを続けていくのは大変なことですから。
そうね。実際の仕事に結びついて、具体的に住宅というかたちで社会にコミットできるといいですね。でもこの企画は、続けていくことが大切だよね。
続けていかなければならないし、これからは産地の意識を改革していかなくてはいけないと思っています。実は僕達が山に行くと、 山のことを考えてくれている人もいるんだってびっくりする方も多いみたいなんです。そういう機会にも触れていない産地もまだたくさんあるはずです。 これからもどんどん交流を増やしていきたいと思いますね。